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「金沢で知る日本の伝統とモダンデザイン」ツアーガイドブック編集・制作

更新日:5 時間前



2023年10月に、34年ぶりに日本で開催された世界デザイン会議 東京2023の公式エクスカーションを金沢で開催するにあたり、日本のモダンデザインの原点である工芸や哲学・禅への理解をより深めていただくことを目的に、東京から新幹線で2時間半でアクセスできる金沢でのツアーを企画し、より理解を深めていただくための「金沢で知る日本の伝統とモダンデザイン」ツアー冊子(B5×10P)を編集・制作しました。

 

今回の企画主旨は、この世界デザイン会議 東京2023の機会に、海外から日本に来られる多くのデザイン関係者に、東京完結で日本のデザインを理解するのではなく、日本の地方に点在するモダンデザインの足跡を線としてつなげることで、より深く日本のモダンデザインの精神性を理解していただきたいとの思いで企画・編集・制作にあたりました。



見学ツアーの重要なキーアイテムとして冊子づくり

 

ツアー実施に先立ち、石川県出身の哲学者・西田幾多郎、同じく石川県出身の仏教研究者・鈴木大拙、そして民藝提唱者として大きな足跡を残した柳宗悦、そしてそのご子息であり、金沢美術工芸大学の発展に寄与した柳宗理の重なり合う人生にスポットを当てました。

 

一見、専門も異なり個別の活躍が知られる先人たちの足跡が、実は線で濃密に繋がっていることを、様々な文献やヒアリングをもとに、モダンデザインの系譜として編集しました。

 

そして、それらのストーリーと金沢および周辺の拠点を通じて、日本のモダンデザインの精神性に理解を深めていただけるよう、わかりやすく可視化すべく力を注ぎました。



p1-2:導入ページで金沢の紹介
p1-2:導入ページで金沢の紹介

なぜ金沢の地でモダンデザインの系譜が育まれたのか。その原点は、今も金沢市が掲げる創造都市の一角を担う、金沢の伝統工芸を起点に置いています。


そして金沢の地で、運命的に出会った西田幾多郎と鈴木大拙。その後、学習院で彼らの指導を受ける柳宗悦。その息子・柳宗理は鈴木大拙とも親交があり、海外のル・コルビュジエやバウハウスの影響を受け、現代に至るまでモダンデザインの本質を提唱されてきました。これらの先人の紹介は、様々な資料を基に多角的に捉え、かつシンプルにまとめました。また、施設紹介も背景を絡めながら紹介し、より関連性がわかるように努めました。さらに、「金沢で育まれたモダンデザインの系譜」は関係性をわかりやすく伝えるため、系譜図を作成しました。


彼らの重なり合う人生は、日本および金沢と世界の時事やデザインの変遷と重ねて見られるように年表でまとめ、よりわかりやすくなるよう工夫しました。



p3,p5-6:時代背景をわかりやすく見せるため、見開きで表現
p3,p5-6:時代背景をわかりやすく見せるため、見開きで表現

p4:左は片観音の扉として系譜図の関連人物紹介、p7-8:ツアーでまわる施設の紹介
p4:左は片観音の扉として系譜図の関連人物紹介、p7-8:ツアーでまわる施設の紹介


今後に向けて


金沢におけるモダンデザインの原点でもある工芸。しかし「なぜ工芸が金沢でここまで発展してきたのか」という問いに対し、当然この冊子ではすべてを網羅することはできませんでした。今後は、日本の全体的な歴史背景を踏まえた文化を紹介し、違いを明確にするよう、公家文化(京都)のこと、加賀藩前田家のこと、武家文化(金沢)のことも加えて、冊子の内容をブラッシュアップできるようにしていきたいと考えています。



まとめ

 

冊子の最後には、西田幾多郎、鈴木大拙、柳宗理の代表的な言葉を記載しました。

デザインに関わる人は、必ず心にとめるべき言葉として記載しました。


西田幾多郎「生きるために便利だから真理なのではなく、逆に真理だから我々の生活にとって有用にされ得るのである」


柳宗理「本当の美は生まれるもので、作り出すものではない」


鈴木大拙「美は過去も未来もなく、唯、現在があるが故に、いつも生きているのだ」


冊子の作成を通じて、改めて金沢はものづくりが地域に根付いており、伝統工芸から現代におけるモダンデザインも含め、昔も今も文化を大事にする風土であることを再認識いたしました。これからもエイジデザインでは、工芸振興、地域振興、デザイン振興を掲げ、活動してゆく所存です。

 


※世界デザイン機構 World Design Organization=WDO約40の国と地域から約170のデザイン関連団体・企業・教育機関等が加盟している世界最大級の国際デザイン団体。前身はICSID(International Council of Societies of Industrial Design)。日本メンバーは、5団体(JIDA、公益財団方針日本デザイン振興会、千葉大学、武蔵野美術大学、多摩美術大久我)


※公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会 JIDA 日本におけるインダストリアルデザイン唯一の全国組織。ICSID創立メンバー。2019年からWDOの名誉会員。


御礼

当企画の編集にあたり監修協力いただきました、金沢美術工芸大学名誉教授の酒井 和平 様、柳工業デザイン研究会の藤田 光一 様、柳宗理先生のご子息である柳 新一 様に、心より感謝申し上げます。



WDA Tokyo2023 Official Excursion Kanazawa Tour

2023.10.30-31 Kanazawa, kahoku,Ishikawa, Japan

writing / Yohei Inagaki

Publisher SyutoKanazawa

planning AgeDesign


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